雨夜のAngelology
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私は黙って、その給仕に案内されて広やかなコルク張の階段を昇って行ったが、登って行くにつれて、階中に満ち満ちている高潮したレコードと舞踏のザワメキに気が付いた。 私は黙って夕食の箸を置いて新調のフロックと着換えた。誰しも疑わない姫草ユリ子の正体をここまで疑って来た妻のアタマを小く思いながら。 ご大層な啖呵たんかを切っておいて、今更いまさらお小遣こづかいちょうだいもないもんだ。だが背に腹はかえられない。勝利のカードと手持ちだけでは、往復航空券と宿泊費しゅくはくひがやっとだ。関連項目:アニコン