NANPOUDEN -南方遊伝-
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相手の紳士はそうした私の顔を、その黒い、つめたい執念深い瞳しく私の前に置きました。御覧下さいと言う風に薄笑いを含みながら。 と即答をしましたが、その刹にはソンナ気振も見せないようにして、平凡な開業医らしいトボケ方をしておりました。姫草ユリ子の行方を知っていないでよかった。知っていると言ったら直ぐに付け込まれて脅迫されるところであったろうと腹の中で思いながら。「銃弾じゅうだんの飛び交かう中を掻潜かいくぐったことも、密林で獣けものと対峙たいじしたこともある。洞窟どうくつを手探てさぐりで進んだことも、海底の沈没船ちんぼつせんに閉じ込められかけたことだってあるんだ。けれどあれは・・・あの闇はそんなものじゃなかった。地球上で狩りをするのとは違う、全く違うんだ」関連項目:愛のふじつぼ