餓狼伝 BOY
- 人気漫画
という返事であった。 だからこの時も姫草看護婦に対する疑いを、普通一般の嫉と混同するような気は毛頭起らなかった。また彼女の変痴気趣味が出たなぐらいにしか考えなかったが、それでも、そうした彼女の姫草ユリ子に対する疑いが、何かしら容易ならぬ大事件になりそうな予感だけはハッキリと感じたから、念には念を入れるつもりで私は、彼女の考えを一応、検討してみる気になった。 それは単に赤く塗ぬり潰つぶしてあるわけではなく、深紅しんくの塗料とりょうを使った壁画へきがだった。精密な模様の所々に、人物や家畜かちくや、神と思おぼしき姿が描えがかれている。流れたての血にも似たただ一色で、二十畳程じょうほどの部屋を埋うめ尽つくしていた。壮観そうかんだ。関連項目:逆転検事