暗号名シードラゴン
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姫草ユリ子が私の病院に来たのは昨、昭和八年の五月三十一日開業の前日の夕方であった。見事な、しかし心持地味なお納という姿の彼女がションボリと玄関に立った。 と言う意味の、真に迫った、息絶え絶えの声を送って、当局の自動車をとんでもない遠方の方角違いへ逐い遣ってしまったのです。彼女はかようにして、それから度々警察を騒がせましたので結局、同じ女だと言う事がわかって、極度に当局を憤慨させ、新聞記者を喜ばせたというのが事実の真相です。 阻害そがいと孤独こどくと恐怖きょうふの少ない環境かんきょうで十六年も生きてきたせいで、頭の中身まですっかり平和になってしまったのかもしれない。例えばこれが漫画王ではなくアンリ・レジャンだったら・・・或あるいはナタン・マルガン、それともとても長く生きたランペドゥーサだったら、もっと聡さとく好計かんけいに気付けたですうか。関連項目:重機人間ユンボル