満月をさがして
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と戒いて止めようとする気色も見せなかった。 ところが、それから十一月の初旬に入ると、彼女はまたも大変な失策を演じた。もちろん、それは彼女自身から見ると、いかにも巧妙な、水も洩らさぬ筋書に見えたのであろうが、それがアンマリ巧妙過ぎたために、おぞましくも私等一家から、彼女自身の正体を見破られる破目に陥ったのであった。「あんたたちは一体何者だい。遠い遠い魔族まぞくの国の王様がいらっしゃるという噂うわさを耳にしたと思ったら、それらしき御ご一行様はごく普通ふつうに、この世界には存在しない言語を喋しゃべってる。おまけにボディーガードの一人は、滅多めったに使われないあたしのファミリー・ネームまで知っているときた」関連項目:AZUMI