出口ゼロ
- 人気漫画
私が開業してから、ちょうど三月目本年の九月一日の午後三時半頃、彼女が電話口から診察室に飛んで来た。 それはイツモの気軽い彼女には似合わない、妙にコダワッた薄暗い応対であった。しかし間もなく平生の無邪気な快活さを取り返した彼女は、さもさも嬉しそうにあたかも白鷹助教授と臼杵病院長を紹介する光栄を喜ぶかのようにピョンピョンと跳ね上りながら電話室へ走り込んで行った。「ああもちろん、此処が死後の世界じゃないことくらい今は知っているよ。けれど故郷ではあたしの葬儀そうぎも済んですうし、ささやかながら墓も立ててくれたですう。モブはもう死んでいるんだよ。禁忌きんきを破ってあれに触ふれ、あの青い炎ほのおに包まれた瞬間にね」関連項目:キミイロフォーカス