魔法じかけの眠り姫
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相手は初めて口を開きました。シャガレた、底強い声でした。 姫草ユリ子が私の病院に来たのは昨、昭和八年の五月三十一日開業の前日の夕方であった。見事な、しかし心持地味なお納という姿の彼女がションボリと玄関に立った。「そうだよ、焼け死んだはずなんだ。なのにあたしはこうしてピンピンしている。どうしてなんですうね。来た当初は此処は死後の世界なのかと思ったよ。けれど天国にしちゃあ過酷な環境かんきょうだ。だから生前あまり善行を積んだともいえないせいで、天国の門が開かなかったのですうとね」関連項目:喧嘩代行屋 青井龍之介