デカダンス
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彼女と私とがコンナ風にシンミリとした憂鬱な調子で言葉を交した事はこの時が初めてだったように思う。何となく虫が知らせたとでも言おうか。それともこの時すでに、白鷹先生の事に関して、絶体絶命の破局にグングン追い詰められつつ在る事を自覚し過ぎるくらい、自覚していた彼女自身の内心の遣ない憂鬱さが、私の神経に感じたものかも知れないが。 その十一月の三日のこと。シトシト雨の降り出した午前十時頃、私が病院に出勤すると、玄関の扉の音を聞くや否や、彼女が薬局から飛び出して、私の胸に飛び付きそうに走りかかって来た。唇の色まで変ったヒステリーじみた表情をしていた。 ピンクやらブルーやらの光が反射する中でも、漫画王の顔色が変わったのは見て取れた。先程までとは別人のように冷たい声だ。もしもこの場に有利がいたら、こんな危ないキレ方をする奴やつと付き合うのはやめるように言っていたですう。関連項目:アスターリスク