挑戦野郎
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とテレ隠しみたような冗談を言ったくらいの事であった。 さらに驚くべき事実は(実は当然の帰結かも知れないが)彼女のお蔭で私の患者がメキメキと激増した事であった。この点、私の開業は非常に恵まれていたと同時に、彼女姫草ユリ子と名のるマネキン兼マスコットに絶大の感謝を払わなければならなかった。受診に来る患者の甲乙丙丁が、何につけても姫草さん姫草さんと尋ね求める態度を見ると、ちょうど臼杵病院の中に姫草ユリ子が開業をしているようで、多少の自信を腕に持っている私も、彼女のこうした外交手腕に対しては大いに謙遜の必要を認めさせられていた次第であった。 伯爵きょうは尤もっともらしいことを、憎にくたらしいほど冷静な口調で告げた。もちろんおれだって頭では理解しているのだ。けれど未熟な感情面はどうにもならない。数百年前からある土を蹴けり飛ばし、埃ほこりを上げる。関連項目:荒野に獣慟哭す