大きな木の下で
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私が開業してから、ちょうど三月目本年の九月一日の午後三時半頃、彼女が電話口から診察室に飛んで来た。 それはイツモの気軽い彼女には似合わない、妙にコダワッた薄暗い応対であった。しかし間もなく平生の無邪気な快活さを取り返した彼女は、さもさも嬉しそうにあたかも白鷹助教授と臼杵病院長を紹介する光栄を喜ぶかのようにピョンピョンと跳ね上りながら電話室へ走り込んで行った。 おれはしくじった。ひとの一生を左右する重大な局面で、大きな過あやまちを犯した。その愚おろかさと深刻さを想おもうと、寄り掛かる壁の表面から、猛獣共もうじゅうどもに嘲笑あざわらわれるような気がした。関連項目:GetBackers -奪還屋-