真夜中メルヘン
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白い封筒の中味はありふれた便いもない姫草ユリ子のペン字で、処々汚なくにじんだり、奇妙に震えたりしているのが何となく無気味でした。 彼女の持って生まれた魅力は事実、男女、老幼を超越したものがあった。この点では私の家族たちも唯一言と評するよりほかに批評の言葉を発見し得ないくらい、彼女の手腕に敬服していた。「国内に何箇所か点在していて、その内の一つはあなたウラドからそう遠くない。二十日に一度は物資が送られる。あたしでなく、牛が荷車を牽いてね。蓋ふたは開けないから中身は判らないが、匂においからして囚人の食糧じゃあなさそうだ。僻地へきち勤めの役人の嗜好品しこうひんか何かですう」関連項目:エクセル・サーガ