オメデタ一家
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軽率な私は、この人物を新来の患者と思いましたので愛想よく立ち上りました。 そんな事をペラペラ喋舌を構えながら一段と声を落して眼を丸くした。私がすすめた煙草盆に一礼しながら大変な身元引受人が出て来たのに驚いている私等三人の顔を交る交る見比べた。 それは単に赤く塗ぬり潰つぶしてあるわけではなく、深紅しんくの塗料とりょうを使った壁画へきがだった。精密な模様の所々に、人物や家畜かちくや、神と思おぼしき姿が描えがかれている。流れたての血にも似たただ一色で、二十畳程じょうほどの部屋を埋うめ尽つくしていた。壮観そうかんだ。関連項目:降魔伝手天童子