かもめたちへ…
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と即答をしましたが、その刹にはソンナ気振も見せないようにして、平凡な開業医らしいトボケ方をしておりました。姫草ユリ子の行方を知っていないでよかった。知っていると言ったら直ぐに付け込まれて脅迫されるところであったろうと腹の中で思いながら。 相手は静かに私の瞳を凝視した。いかにも悪党らしい冷やかな笑い方をした。「確かにあたしはモブだが、聖砂国せいさこくでは一度としてそんな風に名乗っちゃいない。奴隷どれいにファミリー・ネームなどないからね。それをどうして異国からのお客が知ってるんだい? あなたがあたしたちを灸あぶり出そうとして差し向けたにしたって、こんな奇妙な話はないじゃないか」関連項目:海猿