漫画村 新保勝美、 他 風のシュプール

レビューとあらすじ

不朽の愛すべき罪と罰。
　彼女の看護婦としての腕前は申し分ないどころの騒ぎではなかった。Ｋ大耳鼻科のお仕込みもさる事ながら、彼女は実に天才的の看護婦である事を発見させられて、衷から舌を巻かされたのであった。　彼女は決して美人という顔立ではなかった。眼鼻立はドチラかと言えば十人並程度で、色も相当に白かったが、背丈が普通よりも低く五尺チョットぐらいであったろう。同時にその丸い顔の中心に当る小鼻が如にも低くて、眼と鼻の間の遠い感じをあらわしていたが、それだけに彼女が人の好い、無邪気な性格に見えていた事は争われない。　時を告げる楽器が鳴り響ひびき、それまでゆっくりと歩いていた人々が、一斉いっせいに早足で東へと向かい始めた。行き先は二ブロック先の広場だ。今日は特別な催もよおしがあるから、見逃みのがすわけにいかない。おれの目には神族の市民達が、皆みなそう囁ささやき合っているように映る。関連項目：おせん