花鎮め
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彼女の言う白鷹先生というのは、彼女の識っている白鷹先生とは性質の違った白鷹先生であった。要するに彼女の機智が、私をモデルにして創作した私の機嫌を取るのに都合のいいように創作した一つの架空の人物に過ぎないのであった。しかもその架空の人物と彼女との親密さを私に信じさせる事によって、彼女自身の信用を高め、彼女の社会的な存在価値を安定させようと試みている一つのトリック人形でしか白鷹先生はあり得ないのであったが、軽率な私は、そのトリック式白鷹先生の存在を百二十パーセントに妄信させられていた私と同様な気軽な、茶目式の人物と思い込んでしまったために、こんな軽はずみな事を彼女に頼んだ次第であった。 彼女は、そう言う私の顔をすこし近眼じみた可愛い瞳の一種と解釈していたので格別不思議に思わなかった。 とはいえ、好意を持っている相手でもなかったから、心配してやる気にもなれずに、少女は不機嫌ふきげんそうに鼻を鳴らした。それどころかつい先日までは、魔族の敵と目されていた人物だ。慣れない航海で体調を崩くずしたとしても、気に掛けてやるつもりはない。関連項目:ガンスミスキャッツ・バースト