月のピスケス〜双魚宮〜
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しかし午後一時から三時までの私の休息時間が来て、程近い紅葉坂の自宅に帰ろうとすると、その玄関で彼女がまたも私の前に駈け寄りながらシオシオと頭を下げた。 私の日記を翻して見ると、それはやはり十一月の三日、明治節の日であった。彼女が事を起すのは、いつも月末から初旬へかけた数日のうちで、殊に白鷹先生から電話がかかったり、手紙が来たりするのは大抵三日か四日頃にきまっているのであった。そこにこのの神秘さがあった事を神様以外の何人が察し得たであろう。 会話を遮さえぎると同時に、鈍にぶい音を立てて壁がスライドした。注意してみると扉とびらは分厚い石の板でで、横に転がせるように巨大きょだいな円になっていた。けれど今は地下道の仕組みに感心している場合ではない。関連項目:赤龍王